企業主導型保育園運営の定員割れ対策と今後
企業主導型保育園は認可外保育園です。
運営企業によっては保育のノウハウがないこともあり、定員割れを起こしている場合も。
なぜ定員割れを起こしているのでしょうか。その対策と今後の動きを把握しておきましょう。
企業主導型保育園運営の定員割れ対策と今後
現状の把握と原因究明
【企業主導型保育】会計検査院が調査結果を発表【定員割れ】でお伝えしたとおり、全体の4割が定員割れを起こしている企業主導型保育園。
「企業主導型保育園運営の存続のために」で定員割れの原因もはっきりしました。
企業主導型保育の制度は、待機児童対策として期待されていたことは間違いありません。
しかし、現状は定員割れや助成金詐欺などさまざまな課題が露呈している状況です。
企業主導型保育園を経営仕様とする企業は、ルールが緩和されたとはいえ助成金に頼った事業展開を安易に行おうとするのではなく、地域、保護者のニーズとのマッチングを考えた計画的な運営の改善が求められます。
企業主導型保育の制度は現状の課題を解決した先に有効な少子化対策として今後も求められることが考えられます。
定員割れの対策
●適正な事業計画
事業を始める前に事業計画の作成は必須です。
助成金を目当てにして経営管理がずさんで閉園に追い込まれている保育所は少なくありません。
利用者の水増しをして不正に受給しなければいけなかったり、児童育成協会からの運営費助成金の支払いが遅れたことで経営にいきづまったりと適正な事業計画を立てていないが為に企業主導型保育から撤退していく企業も多いです。
施設規模や土地、新築の有無によってもコストは大きく変動します。
企業主導型保育園の場合、最大で1/4の設備投資が助成されるので、確認が必要です。
また、人件費や設備費、水道光熱費を合算した保育園に掛かる年間の費用も把握しておきましょう。
年間平均で2000万円以上と言われており、助成金を受けた場合50∼95%の補助が受けられます。
手厚い助成を受けることはできますが、それだけでは経営は成り立ちません。
●ニーズと現状の把握
定員割れを起こす最大の原因は、企業主導型保育園を立地する地域の調査不足によるものです。
共働き世帯は多いのか。主な利用園児となる0〜2歳児の実際の人数はどの程度か。
入園見込みの園児を多めにカウントしていないか。他に新規参入の保育園はないか。
自治体の利用要件をきちんと確認し、その上でデータを収集し、地域枠を把握していきます。
●制度の見直し
企業主導型保育園の実態を踏まえて、都市部に新設したり、委託を受けたりする保育事業者に5年以上の実績を義務づけるなど、サービスの向上を目指している政府。
経団連も企業主導型保育園の実態は問題があるとしています。
内閣府と企業側に働きかけ、事業に関する説明を求めたり、事業の実態に関する質問を受け付けたりと業務の改善に前向きに対応中です。
また、保育の質の向上と認可保育園との連携を図るなど、行政との連携が重要であるという意見も出ており、新たに保育施設を作る場合、地域内の事業所用に園を設置する、事業所内に園を造るという方向で検討されています。