保育の現場ならではのハラスメントとは
新聞の投書欄をきっかけにある保育園で行われているマタニティハラスメントが話題になりました。
「妊娠する順番をあらかじめ園長が決めている」というものです。
ざんねんなことですが、現役の保育士の中にはこうしたハラスメントの話は山のようにあります。
保育園ならではのハラスメントとはどういったものがあるのでしょうか。
■マタニティハラスメント
話題となったマタハラ。先輩より先に妊娠してしまった保育士には、無視をしたり嫌味を言ったりなどの精神的な攻撃をする、妊娠すると退職を強要するなどがあります。
結婚を祝いながら「妊娠はしたらダメだからね」と人権問題としておかしなことまであるのです。
■パワーハラスメント
スポーツ選手のニュースでも話題になったパワハラ。過剰に早く出勤させられたり、残業を強要されたり、用事で残業をせずに帰ろうとすると責められたり。
過剰な仕事量を強要されたり些細なミスを執拗に責められたり。園長先生や先輩保育士など、立場が強い人からの攻撃をいいます。
■モラルハラスメント
加害者がハラスメントをしていること、被害者がハラスメントを受けていることが麻痺してわからなくなるモラハラ。
園長先生や先輩保育士から私的な用事をさせられたり、子どもたちや他の職員の前で叱責されることも今後の関係や保育士としての立ち振る舞いに影響が出てくるハラスメントです。
言葉や態度で嫌がらせをしたり、孤立させたりしてじわじわと攻撃をしていき、心に深い傷を残します。
■退職ハラスメント
狭い保育の世界だからこそ、ハラスメントが辛くて辞めるという選択をしたのに、退職もスムーズにさせてくれないような行為もあります。
退職願いの受け取りを拒否したり、必要書類を出し渋ったり、退職理由を執拗に問われたり謝罪を強要されたり。
「ここで務まらないなら他で保育の仕事なんてできるわけがない」「市内の保育施設で保育士ができると思うな」など言われた事例もあります。
■保育現場ならではの問題
たとえば給食をどうしても全部食べられない子がいたとします。
担当の保育士自身はよくないと思っていましたが、園や先輩の方針で無理やり食べさせるよう強要された、ということがありました。
不適切な保育や子どもの自尊心を傷つける行為を園長先生や先輩保育士から指導されると、パワハラ・モラハラを受けた自分自身だけでなく、目の前で展開されるそれらの行為を子どもたちがうけることになります。
このように、保育現場のハラスメントは、育児と仕事に切っても切れない関連がでてくるのです。
無自覚にハラスメントを行っていると、保育の向上を妨げることになります。