保育お役立ち情報

増える子どもの転落事故。大人が心得ておくこととは

2025.11.15 保育お役立ち情報 , , , , , , ,

子どもが住宅の窓やベランダから落下する事故が相次いでいることを受けて、消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)は、6月24日に調査結果をまとめた報告書を公表しました。
調査によると、特に動きが活発になる3歳ごろの子どもにおいて、ベランダからの転落事故が多く発生していることが明らかになりました。
報告書では、保護者による見守りに頼るだけでは不十分であり、住宅の安全対策を強化する必要があるとしています。
また、関係する省庁に対しても、具体的な予防策の実施を呼びかけています。
(※2025年6月25日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)

乳幼児の転落事故はベランダが最多。見守りだけでは防げない現実

消費者安全調査委員会(消費者事故調)は、住宅からの子どもの転落事故に関する報告書を公表しました。
それによると、1993年から昨年までの32年間に、6歳未満の子どもが住宅の窓やベランダから転落して死亡したケースは合計で134件にのぼりました。
事故が起きた場所を見ると、ベランダからの転落が92件と最も多く、窓からの転落(42件)の2倍を超えています。
また、発生場所の約9割はマンションで、戸建て住宅よりも大幅に多い結果となっています。
年齢別では、活発に動き始める3歳の子どもに最も多く49件が確認され、次いで4歳児が29件、2歳児が26件となっています。
事故発生時の保護者の在宅状況を見ると、在宅していたケースが65件(49%)と、不在だった55件(41%)をやや上回っています。
ただし、日常生活の中で子どもの行動を常に見守り続けるのは困難であり、たとえ近くにいても、転落は一瞬で起きてしまうことが多いと指摘されています。
事故の背景を分析したところ、窓からの転落42件のうち、足がかりとなるベッドやソファ、机などがあったケースが32件確認されました。
また、窓が開いたまま、あるいは施錠されていなかった事例も21件に上りました。
ベランダからの転落92件については、出入り口となる窓が開放または施錠されていなかった事例が22件あり、さらにイスやプランターなど、子どもが登るための足がかりがあった事例が67件に及びました。
消費者事故調は、国土交通省の国土技術政策総合研究所が策定した「子育て配慮型住宅ガイドライン(改訂版)」に基づき、具体的な安全対策を進めることを提案しています。
また、こども家庭庁に対しては、保護者への啓発と情報提供の強化を求めました。
委員長の中川丈久氏は、「子どもの転落は、時間や場所を問わず起こり得るという意識が必要です。保護者の注意だけで防げると思い込むのは危険です」と述べています。

窓の先に潜む危険、家庭内の「ヒヤリ」にどう備えるか

子どもが住宅の窓やベランダから落下する事故が後を絶ちません。
実際に事故には至らなくても、「ヒヤリ」とするような場面は日常の中に多く潜んでいます。では、保護者はどのような対策をとることができるのでしょうか。
ある日の昼時、埼玉県の戸建て住宅で暮らす30代の男性会社員が、昼食の準備中にリビングの様子を確認したところ、3歳の次男がイスの上に立ち、腰の高さにある窓を開けようとしているのを見つけました。慌てて駆け寄り、すぐにイスから下ろしたといいます。
次男は自分の力で窓の鍵をすべて開け、ダイニングからイスを引きずってきたとのことです。
そのとき、妻は荷物の整理をしており、5歳の長男はテレビに夢中でした。窓には補助錠などの安全装置は付けていなかったと話し、「もしここがマンションで、身を乗り出していたらと思うと、ゾッとします」と振り返っています。
2022年には東京都が、1都3県で1?12歳の子どもと同居する保護者約2,000人を対象に、ベランダでの転落やその危険を感じた経験についてインターネット調査を実施しました。
その結果、14.9%(300人)が、実際の転落やヒヤリとした場面を経験していたことがわかりました。
調査では具体例として、「目を離したすきに子どもがベランダに出て、手すりと壁のすき間から下をのぞいていた」(3歳)、「窓を開けて、室外機に手をかけていたところを見てヒヤッとした」(2歳)といった事例が報告されています。

幼児期の転落事故を防ぐために―「知っておくこと」が最初の一歩

子どもの転落事故に詳しい、長野県にある佐久医療センターの小児科医長・坂本昌彦医師(47)によれば、3~4歳の子どもは好奇心が非常に旺盛で、自分を抑える力がまだ十分ではないそうです。
「四六時中、子どもから目を離さないようにするのは現実的には難しいですが、特に4歳くらいまでの時期は事故が多いと知っておくだけでも、行動は変わってくると思います」と話しています。
また、坂本医師は、たとえ短時間でも保護者がその場を離れるときには、ベビーサークルに入れる、窓の鍵をしっかり閉めるなど、家庭内で一定のルールを設けておくことが重要だと指摘しています。
こうした状況を踏まえ、国も安全対策に取り組んでいます。国土交通省では、分譲マンションなどを対象に、ベランダの手すりや補助錠を設置した場合、最大で100万円の補助を行っています。

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